バックビートを体得する — 聴き方と練習法
コース12の最終レッスンです。12-1 でバックビートの正体、12-2 で歴史を学びました。仕上げは「体得」です。バックビートは知識ではなく身体感覚なので、ここでは聴き方と練習法を具体的なメニューにします。
目次 (6)
まず「手拍子の位置」を直す
ライブやテレビの音楽番組で、観客の手拍子が「1拍目・3拍目」(頭打ち)になっている光景があります。ポピュラー音楽の多くはスネアが鳴る2拍目・4拍目で手拍子するほうがグルーヴに乗れます。
練習はシンプルです。
- 好きな 8 ビートの曲をかける
- スネアドラムの「パン!」という音だけを探して聴く
- その音に合わせて手拍子する(「1 2 3 4」の太字の位置)
最初は1・3拍に引っ張られて気持ち悪く感じるかもしれません。それは今まで「表」で乗っていた証拠で、数曲やると2・4拍のほうが自然になってきます。
メトロノームを「2拍・4拍」に置く練習
楽器をやる人向けの定番練習に、メトロノームのクリックを2拍目と4拍目として聴くというものがあります。
- メトロノームを テンポの半分(例: 曲が BPM120 なら 60)で鳴らす
- そのクリックを「1拍目」ではなく「2拍目と4拍目」だと思って、「1、(click)、3、(click)」とカウントする
最初はクリックがすぐ「1拍目」に聞こえ直してしまいます。クリックをスネアに見立てて維持できるようになると、自分の中にバックビートの軸ができた証拠です。ジャズやファンクの教則で広く使われている練習法です。
聴き取りトレーニング: スネアの位置を意識して聴く
次の聴き方を、通勤中の音楽で試してみてください。
- ドラムだけを追う — ボーカルではなくスネアとハイハットに耳のフォーカスを置く
- 2・4拍で首を振る/足を踏む — 体のどこかでバックビートを刻む
- クラシックや演歌と聴き比べる — バックビートが「無い」音楽と交互に聴くと、有る音楽の輪郭がはっきりします
「日本人は裏拍が苦手」という俗説について
「日本人はリズム感がなく裏拍が取れない」という言説をよく見かけますが、私は半分俗説だと考えています。
- 確かに、民謡や演歌など日本の伝統的な音楽文化には2・4拍を強調する習慣がなく、触れてきた音楽の蓄積の差は存在します
- しかしそれは「能力の差」ではなく「習慣の差」です。上の練習のように後天的に身につくことは、日本のプロミュージシャンが世界水準で活躍していることからも明らかです
「生まれつきリズム感がない」と諦める必要はまったくない、というのがこのコースの結論です。
まとめ — コース12の総復習
- バックビートは2拍目・4拍目を強調するリズムの感じ方(12-1)
- ゴスペル・R&B からロックンロールへと受け継がれた歴史がある(12-2)
- 手拍子の位置 → メトロノーム2・4拍置き → 聴き取りの順で体得できる
- 「日本人は裏拍が苦手」は習慣の差であって、練習で埋まる
音楽理論をマーケのサイトで扱うのは意外だったかもしれません。ただ、「構造を分解して、練習メニューに落とす」という本コースの進め方自体が、どんなテーマにも応用できる学び方の型です。
参考
- バックビート — Wikipedia(Beat (music) 内の解説)
- リズム — Wikipedia
- 12-1「バックビートとは」/ 12-2「バックビートの歴史」(本サイト)