コピーの原理 — 特徴ではなくベネフィットを書く

コピーの原理 — 特徴ではなくベネフィットを書く

このレッスンで学べること:

  • コピーライティングの大原則「特徴(Feature)ではなくベネフィット(Benefit)を書く」とは何か
  • 有名な「ドリルと穴」の理論が示す顧客視点の本質
  • 手持ちの商品の特徴をベネフィットに変換する「だから何?」の実践手順
目次 (6)

なぜ「いいことを書いているのに売れない」のか

私がコピーの添削を頼まれたとき、最初に見るのはたった一点です。「書き手が商品のことを語っているか、読み手の未来を語っているか」。売れないコピーの9割は前者、つまり商品の特徴(Feature)を並べています。

  • 悪い例: 「このオンライン講座は動画120本、合計40時間のボリュームです」
  • 良い例: 「通勤の20分だけで、3ヶ月後にはポートフォリオが完成しています」

前者は事実として正しい。でも読み手の頭には「40時間も見るの、大変そう」という感想すら浮かびかねません。後者は同じ事実を、読み手の生活と未来に翻訳しています。これがベネフィット(Benefit)です。

ドリルではなく穴 — 顧客が買っているもの

マーケティングの古典に「人々が欲しいのは1/4インチ・ドリルではない。1/4インチの穴である」という言葉があります。セオドア・レビットが著書『マーケティング発想法』で紹介して広まったもので(元はレオ・マックギブナの言葉とされます)、半世紀以上たった今も色あせません。

ドリルを買う人は、ドリル自体が欲しいのではない。壁に棚を付けたい、つまり「穴」という結果が欲しい。さらに言えば、棚に家族の写真を飾った部屋で過ごす時間が欲しいのです。

私はコピーを書く前に、必ずこう自問します。「この商品における『穴』は何か?」。プロテインなら筋肉ではなく「夏に自信を持って薄着になれる自分」。会計ソフトなら自動仕訳ではなく「確定申告の憂鬱から解放された3月」。商品はいつも手段で、顧客が買うのは変化した自分です。

「だから何?」変換 — 特徴をベネフィットに翻訳する手順

とはいえ「ベネフィットを書け」と言われても手が止まる人が多い。私が新人に教えるのは、特徴に対して「だから何?(So What?)」を答えが生活レベルになるまで繰り返す方法です。

例: ワイヤレスイヤホンの「連続再生12時間」という特徴。

  1. 連続再生12時間 → だから何?
  2. 1日充電しなくていい → だから何?
  3. 朝の電車で「充電切れ」にがっかりしない → だから何?
  4. 「金曜の夜まで、音楽が一度も途切れない」

3〜4段目まで掘ると、ようやく読み手の感情が動く言葉になります。1段目で止まったコピーはスペック表と同じです。

  • 悪い例: 「業界最高クラスのバッテリー容量500mAh」
  • 良い例: 「月曜の朝に充電すれば、金曜の帰り道もまだ鳴っている」

特徴を捨てるな — ベネフィットの「証拠」として使う

誤解しないでほしいのは、特徴が不要なわけではないことです。ベネフィットだけのコピーは「本当に?」という疑念を生みます。私の使い方はこうです。

ベネフィットで惹きつけ、特徴で信じさせる。

良い例: 「金曜の夜まで音楽が途切れない(ベネフィット)。500mAhの大容量バッテリーと省電力チップを積んでいるからです(特徴=証拠)」

順番が逆になると失敗します。特徴から始まるコピーは、興味のない読み手をふるい落としてしまう。先に「あなたの得」を言い、後から「なぜなら」で裏付ける。この順番だけで、同じ素材のコピーが見違えます。

まとめ

  • 顧客が買うのはドリル(商品)ではなく穴(結果)、さらにその先の変化した自分
  • 特徴には「だから何?」を3回ぶつけて、生活と感情のレベルまで翻訳する
  • 特徴は捨てず、ベネフィットの後ろに「証拠」として配置する

次のレッスンでは、そのベネフィットを最初に届ける場所 — 見出しとフックを扱います。

参考

参考になったら ♡
青野俊樹(現役マーケター)

現役マーケターとして、マーケティングを軸に気になったテーマを調べて体系立てて発信しています。 運営方針 は メディアについて をご覧ください。