計測と改善 — CPA・ROAS・LTV で判断する
このレッスンでは、広告運用の意思決定に使う3つの指標 — CPA・ROAS・LTV — の計算と使い分けを学びます。コース5の総仕上げとして、「この広告は続けるべきか」を数字で判断できるようになるのがゴールです。
3つの指標の定義
| 指標 | 計算式 | 答える問い |
|---|---|---|
| CPA(顧客獲得単価) | 広告費 ÷ コンバージョン数 | 1件獲るのにいくらかかったか |
| ROAS(広告費用対効果) | 広告経由売上 ÷ 広告費 × 100% | 広告費1円がいくらの売上になったか |
| LTV(顧客生涯価値) | 平均購入単価 × 購入回数 × 継続期間(簡易式) | 1顧客が生涯いくらもたらすか |
たとえば広告費 30 万円で 20 件の購入(売上 60 万円)なら、CPA は 15,000 円、ROAS は 200% です。
CPA だけで判断すると間違える
私が現場でよく見る失敗は「CPA が安いキャンペーンに予算を寄せたら売上が落ちた」というものです。原因はだいたい次のどれかです。
- 客単価が違う — CPA 1万円でも単価 5 千円の客なら赤字、CPA 3万円でも単価 30 万円なら大儲け
- リピート率が違う — 初回は赤字でも LTV で回収できる商材がある
- CV の質が違う — 資料請求 CPA が安くても、その先の成約率が低ければ意味がない
つまり CPA は「いくらまで払っていいか(上限 CPA)」とセットで初めて意味を持ちます。
損益分岐 CPA の求め方
上限 CPA は次の式で出します。
上限 CPA = 粗利 × 許容回収期間内の LTV − 必要利益
最も単純な「初回購入で回収する」モデルなら、
- 商品単価 10,000 円、原価・配送等 4,000 円 → 粗利 6,000 円
- 利益を 2,000 円残したい → 上限 CPA = 4,000 円
サブスクや リピート商材なら、「6ヶ月以内 LTV の粗利」を基準にするなど回収期間を決めて計算します。回収期間を無限に伸ばせば CPA はいくらでも許容できてしまうので、キャッシュフローが耐えられる期間で区切るのが実務の知恵です。
ROAS の使いどころと罠
ROAS は EC のように売上金額が即座に立つ商材で使いやすい指標です。ただし2つの罠があります。
- 粗利率を無視している — ROAS 300% でも粗利率 20% なら赤字です。損益分岐 ROAS = 100% ÷ 粗利率 で確認します(粗利率 40% なら 250% が分岐点)
- 計測の取りこぼし — ビュースルー CV や別デバイス購入は計測から漏れます。プラットフォーム管理画面の数字と実売上の両方を見ます
予算配分の基本
私の予算配分の手順はシンプルです。
- キャンペーン/チャネルごとに「上限 CPA(または分岐 ROAS)に対する余裕」を出す
- 余裕があり、かつまだ配信量を増やせるところに追加予算を入れる
- 上限を超えているものは、クリエイティブ・LP 改善(コース5-4)で立て直すか、止める
「全チャネル均等」や「前年踏襲」の予算配分は思考停止です。数字の根拠を持って傾けます。
まとめ
- CPA は上限 CPA とセットで使う。安い CPA ≠ 良い広告
- ROAS は粗利率で割り戻す(損益分岐 ROAS = 100% ÷ 粗利率)
- LTV を入れると「初回赤字でも勝てる」判断ができる。ただし回収期間を区切る