ファネル分析 — どこで離脱しているかを特定する
このレッスンでは、読者が成果地点に至るまでの流れを段階に分けて可視化する「ファネル分析」を学びます。 枠組みとしての AARRR モデル、GA4 でのファネルの作り方、そしてボトルネック(最も離脱が大きい段階)から改善する手順を扱います。
ファネルとは「漏斗」のこと
ファネル(funnel)は漏斗のことです。発信を例にすると、投稿を見た1万人のうち、プロフィールに来るのが500人、リンクを踏むのが100人、メルマガ登録が20人、購入が2人 — と、段階が進むほど人数が減っていく。この形が漏斗に似ています。
ファネル分析の本質は1つだけです。「全体をなんとなく増やす」のをやめて、「一番こぼれている段階」を特定して直す。前レッスンまでの KPI ツリーを横倒しにして、時系列の流れとして見たものがファネルだと考えてください。
AARRR — 獲得後まで視野を広げる枠組み
段階の切り方として有名なのが、500 Startups 創業者デイブ・マクルーアが提唱した AARRR モデル(頭文字が海賊の唸り声に聞こえるため「海賊指標」とも呼ばれます)です。
| 段階 | 意味 | 発信者での例 | 指標の例 |
|---|---|---|---|
| Acquisition(獲得) | 知ってもらう | 投稿の表示、検索流入 | リーチ、セッション数 |
| Activation(活性化) | 価値を初体験してもらう | 記事読了、メルマガ初回開封 | 読了率、登録数 |
| Retention(継続) | 戻ってきてもらう | 再訪、毎週の開封 | 再訪率、開封率 |
| Referral(紹介) | 人に勧めてもらう | リポスト、口コミ | 共有数 |
| Revenue(収益) | お金を払ってもらう | 商品購入、案件成約 | 成約数、売上 |
このモデルの価値は、集客(Acquisition)だけがマーケティングではないと強制的に気づかせてくれる点です。私の経験では、伸び悩む発信者の多くは A ばかり改善し、実際の穴は Activation か Retention にあります。フォロワーが増えても収益が増えない人は、まずこの表で「自分はどの段階の数字も把握していない」ことを自覚するところからです。
GA4 でファネルを作る — ファネルデータ探索
GA4 では「探索 > ファネルデータ探索」で、最大10ステップのファネルを定義できます(旧称「目標到達プロセスデータ探索」)。作り方は次の通りです。
- 探索を新規作成し、手法に「ファネルデータ探索」を選ぶ
- 「ステップ」にイベントを順に登録する。例: ①page_view(記事)→ ②page_view(LP)→ ③newsletter_submit → ④purchase
- 表示された棒グラフで、各ステップの到達数・完了率・放棄率を読む
設定で押さえたいのが2点。
- オープンファネルとクローズドファネル — オープンは途中のステップから入った人も数え、クローズドは最初のステップを通った人だけを数えます。導線全体の素直な評価ならクローズドから
- 内訳(ディメンション)を入れる — デバイス別や流入チャネル別に分けると、「スマホだけステップ②で落ちる」のような発見が出ます
ボトルネック改善の手順
ファネルが描けたら、改善は機械的に進めます。
- 通過率が最も低い段階を1つ選ぶ(全段階を同時に触らない)
- その段階の「直前の体験」を疑う — LP で落ちるなら LP の冒頭、登録フォームで落ちるなら入力項目数
- 仮説→1施策→計測を1サイクル2週間程度で回す(検証の作法はレッスン 6-5 で扱います)
- 直ったら次のボトルネックへ移る
注意点として、最上流(獲得)の改悪はファネル全体の母数を変えるため、下流の率と同時に動かすと因果が読めなくなります。1度に動かすのは1段階、が原則です。
まとめ
- ファネル分析は「一番こぼれている段階」を特定して直すための道具
- AARRR(獲得・活性化・継続・紹介・収益)で、集客以外の段階にも指標を置く
- GA4 のファネルデータ探索なら最大10ステップで放棄率を可視化できる。改善は1度に1段階ずつ